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「祈りの花」同人誌のお知らせ&一巻おまけSS

2017.02.26 19:36|イベント無料配布SS
「祈りの花」最後までお付き合いくださってありがとうございました。
初めて書いたファンタジーBL小説。
色々大変な部分もありつつ、自分の萌えを最大限に入れられて楽しく書けました。
お読みくださった方にも、お楽しみいただけていたら嬉しいです。
この話は3/5、サンシャインシティで行われますJガーデンで二巻を出して同人誌としても完結します。
その際、書き下ろしを収録します。
ユメールが行きたがっていた祭り。ユーシス、ユメール、センカ、カダル、リアーナの五人で遊びに行った祭りでユメールが攫われてしまい、といった話になってます。
同人誌もご興味お持ちいただけましたら宜しくお願い致します。

3/5…J.GARDEN42 
スペースNO、Bホールす10ab
3月新刊予定…「祈りの花 二」(完)」124P(本編Web再録/書下ろし30P)
イベント価格 ¥1,000
書店通販はコミコミスタジオ様にて予約受付中です。クリックしていただけますと予約ページに飛びます。

同人誌に興味お持ちくださった方は→よりお願いします同人誌のご案内

次の連載はカダル×センカ編『誓いの矢』になります。
こちらもお付き合いいただけますと嬉しいです。

下からは、「祈りの花 一巻」でイベントでお付けしたSSになります。
二巻ではこれのアンサーSSをお付けします。
こちらでも少ししたらアップしますね。


それではどうぞ




『 種 』~祈りの花 一 おまけ~
               

 それはユメールの体調が戻り、天気も良い日のことだった。
 ユメールの先見により、仲間の命が救われた皇子軍の人々の空気が温かく変化した。それを肌で感じたのは、広間で朝食を食べていたユメールに話かけてくれる人間が増えた為だ。『はったり』をしている為に言葉少なにしか受け答えが出来ないユメールだったが、以前よりも冷たく受け取られなくなったようだ。それを嬉しく思い空気が柔らかくなるユメールに、隣のユーシスは口元を緩めた。
 その後、普段は仕事に行くかカダル達との打ち合わせがあるユーシスだったが、今日は時間があるらしくユメールと居てくれるらしい。それを知り浮かれるユメールだったが、態度に出さないよう気を付けながら先を歩くユーシスの背中を見つめる。
 ユメールの歩調に合わせゆっくり歩くユーシスは途中、すれ違う仲間から様々な報告や相談を受ける。仲間達に頼られているユーシスを尊敬しながらも淋しくも感じるユメールはベールの下で小さくため息をつく。そのため息が聞こえるわけはないのだが振り向いたユーシスは少し離れたユメールの元まで戻ると「裏庭に行くぞ」と行き先を口にした。
 裏庭でなにをするのだろう? と首を傾げたユメールに懐から紙の包みを出す。
「センカの畑の草むしりがてら、これを撒こうと思ってな」
 ユーシスの言葉に少し辛そうな表情を浮かべるユメール。それは今だセンカの安否が分からない為だ。ユメールの胸中が分かるユーシスは背中をそっと撫でると周りに聞こえないよう囁く。
「センカは大丈夫だ。戻った時に畑が荒れていたら悲しむぞ」
 ユーシスの言葉にユメールは深く頷くと裏庭に向かった。
 皇子軍のアジトは裏は山に面しており、その山にも罠や仕掛けがされている為、敵襲があったとしても背後を取られることは余程でないとあり得ない。その為、ユメールの部屋は裏庭に面した離れを用意されたのだ。
 リアーナの花壇の横にあるセンカの畑はユメールの部屋二つ分ほどの広さだ。まだ草が育つには早い季節だが、それでも雑草が目立ってきている。
 ユメールはベールを取り、しゃがみ込むと早速素手で草むしりに取りかかろうとする。
 しかし、ユメールの長い髪はしゃがむと地面に付く。
「ユメール、ちょっと立て」
 すぐに髪を掴み地面から離したユーシスの言葉に立ち上がったユメールの髪を背中でまとめ始める。
「ありがとうございます」
 背後を振り返って礼をしたユメールだが、ユーシスは少し眉を寄せており、なにかしたか? と不安になる。
「……俺を呼べばいいと言っているのに……今朝は自分でやったのか?」
 ユーシスは不恰好の黒髪の編み込みを見ながら口にした。ユメールはユーシスの言葉に小さく口元を緩めると理由を話す。
「リアーナがやってくれたんです」
「……そうか」
 編み込みを直そうとしていたユーシスはその言葉に手を止める。
「小さな手で一生懸命編んでくれました。……妹がいたら、あんな感じなんでしょうか」
 ユメールの表情が年下の少女の可愛らしさに緩んでいるのを見てユーシスの目元も緩む。
「確かに、そうかもしれないな」
 幼い子供は他にもいるが、リアーナはカダルと共に村を出た人間の娘で、カダルなどは生まれた時から知っている為、実際に妹のように接する。その為、センカやユーシスもまた同じように感じていた。
 リアーナが編んだのならば、とその部分はそのままにし、全体を土で汚れないようまとめた。
 草むしりを終えたユーシスは空いている場所をたがやすと持ってきた種を撒きながら、どんな野菜がなるかを説明する。
「これはラトマットゥといって赤い実がなる、夏になったら食べられるぞ。……その頃には王を倒しているはずだ」
 しゃがんだユーシスは撒いた種にそっと土をかける。その姿を春の陽射しが照らし、銀の髪が輝く。眩しそうに見つめたユメールはその季節を噛み締めるように口にする。
「夏……」
 その時、自分はユーシスの側に居られるのだろうか……。
先を思い黙ったユメールに気づくと心配そうに額に触れる。
「どうした? 具合が悪いか?」
 自分を見つめる深い青。
 その瞳をずっと見つめていたい。
 思わず想いを口にしてしまいそうになったユメールは目を伏せる。
「大丈夫です。……野菜食べられるのを楽しみにしています」
 ユーシスが撒いた種に土をかける為に下を向くユメールの表情は見えない。
 草をむしり、土をかけるユメールの白い手はかなり汚れている。
 それに気づいたユーシスはユメールの手を掴むと土に汚れた手を手拭いで拭きながらどこか楽しげな口調で話す。
「共に住んでから作る為にも、野菜の育て方を覚えておけよ」
 その言葉にユメールは唇が震えないよう耐えながら答える。
「……はい」
 野菜や果実を作って、魚を取って、ユーシスの為に食事を作る夢。
 大切な……叶うか分からない夢。
 しかし――目の端に映る銀色に意識を切り替える。
 先を思い沈んでいるよりも、ユーシスと共に居られる今を大切にしよう、と顔を上げると笑顔を向ける。
「種、私にも撒かせてください」
 明るくねだられたユーシスは目を細めて包みからひとつまみ種を渡す。
 手の平に落とされた種を大切に握り、心の中で願いを口にする。
(……僕がいなくなっても……ユーシス様に食べてもらってください)
 もし、その頃に自分が居なくても、撒いた種が実をつけてくれる。
 自分がいた証として育ってほしい、と願いを込めると、撒いた種の上に大切に土をかけた。




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